不整脈は、心臓の拍動(脈)のリズムや速度に異常が生じる病気です。
健康な心臓は、一定のリズムで規則正しく動くことで、全身に血液を送っています。しかし、不整脈があるとこのリズムが乱れ、脈が速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)、不規則になったりすることがあります。
不整脈には、生命に支障がない軽度のものから、心不全や突然死を引き起こす重篤なものまであり、正確な診断と治療が求められます。
目次
大きく3種類の不整脈あります
脈が速くなる不整脈(頻脈)
動悸、息切、失神(意識を失って倒れる)を引き起こします。最悪の場合、亡くなることもある重い不整脈が多いです。
- 上室性頻拍
- 心房粗動
- 心房細動
- 心室頻拍
脈が遅くなる不整脈(徐脈)
脈が遅くなることで、全身に十分な血液を送れなくなり、息切れ、めまい、失神(意識を失って倒れる)を引き起こします。
- 洞不全症候群
- 房室ブロック
脈がとぶ不整脈
多くの場合は無害ですが、心臓に持病のある方は、治療が必要となることがあります。
- 上室期外収縮
- 心室期外収縮
不整脈にはいろいろな原因があります
- 心臓病(心筋梗塞・弁膜症など)
- 加齢
- 甲状腺ホルモンの異常
- 電解質(カリウム、ナトリウム、カルシウムなど)異常
- くすりの副作用
- ストレス
- アルコールやカフェインの過剰摂取
心電図により不整脈を特定します
不整脈は1日中続いていることもあれば、1日のうち一瞬だけでるようなものもあります。病院で心電図をとっている時に、不整脈が出れば診断がつくのですが、なかなかその機会はありません。そこで、様々な方法で、心電図を記録し、原因を特定します。
原則的に、いずれの検査も、当院ですぐに行えます。その結果、早く病気を見つけることができ、重い状態になる前に治療が始められます。
心電図
胸や手足に電極をつけて、心臓の電気的な活動を記録し、不整脈の種類などを調べます。簡便な検査方法ですが、検査時に不整脈が起きていないと、原因を突き止められません。
24時間ホルター心電図
小型の記録装置を身につけ、24時間の心電図を記録しながら、日常生活を送っていただきます。日常での不整脈の様子や、病院で測定した心電図ではわからなかった不整脈がわかります。
イベント心電図
小型の記録装置を持ち歩き、患者が症状を感じたときに、自分でボタンを押して、心電図を記録します。発作の頻度が少ない場合に有用です。
心臓超音波検査(心エコー)
超音波を利用して心臓の動きや血液の流れ(血流)を調べます。弁膜症など不整脈の原因となる心臓病の有無を調べます。
この検査は痛みもなく、体への負担がほとんどない検査です。
病状に合わせて治療します
薬物療法(くすりの治療)
不整脈の発作を起こさなくしたり、不整脈により脈が速くなったり、乱れたりするのを抑えます。
不整脈の種類や、症状、心臓病の有無により、最適なくすりを選択します。
心房細動など、一部の不整脈は、脳梗塞を引き起こすことがあり、予防のため、抗凝固療法(血をサラサラにするくすり)が必要となります。
治療により、逆に不整脈が悪化したり(催不整脈作用)、肝臓に負担が来たりすることがあり、定期的な通院していただき、心電図や血液検査を定期的に行います。
薬物療法以外の治療
病状によっては、カテーテル治療や、ペースメーカ治療などが必要となります。その場合は、連携した病院を紹介いたします。
適切な検査・治療が必要です
不整脈は放置すると脳梗塞や突然死のリスクがあります。
動悸、息切れ、めまい、胸痛などの症状があったり、健康診断にて不整脈を指摘された場合は、適切な検査により不整脈を特定し、個々に応じた治療が必要です。