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心房細動とは?
心房細動とは、心臓の「心房」という場所が、1分間で300回以上(正常は50〜100回)と異常に早く、ふるえるように動く不整脈です。その結果、脈が乱れたり、早くなったりします。
普段は正常な脈ですが、一時的に心房細動になる方(発作性心房細動)と、1日中心房細動が持続して方(慢性心房細動)がいます。
これ自体は命に関わるような重症な不整脈ではありませんが、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状が現れ、また脳梗塞になりやすくなるため適切な治療が必要です。
心房細動の原因
心房細動は、年齢を重ねるごとになりやすくなり、8割以上の方が65歳以上です。
心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症といった心臓病、高血圧、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などが原因となる場合もあれば、いろいろと検査を行ってもはっきりと原因が分からないこともあります。喫煙、飲酒、ストレス、過労、脱水(熱中症)などをきかっけに心房細動になることがあります。
心房細動の危険性
心不全
心房細動になると、心臓が規則的に動くことができなくなり、負担がかかり、心不全を引き起こすことがあります。
脳梗塞
心房細動になると、心房内の血液がよどみ、血栓(血液のかたまり)ができやすくなります。心臓の中に血栓ができても何ともありませんが、この血栓が、血液の流れにのって、脳の血管を塞いでしまうと、脳梗塞となります。脳梗塞の約15%が心房細動による血栓が原因とされています。
心房細動が原因でなる脳梗塞は、比較的大きい血管が詰まることが多く、麻痺などの重い後遺症が残ることが多いです。
特に、高齢の方、高血圧や糖尿病など持病のある方、心不全になった方、これまでに脳梗塞になったことがある方は、なりやすいです。
有名人では、長嶋元読売ジャイアンツ監督やオシム元サッカー日本代表監督が、心房細動による脳梗塞になっています。
心房細動の症状
心房細動では、脈が乱れたり、はやくなったりすることによる症状が主です。具体的には、次のような症状があります。
- どきどきする(動悸)
- 胸が苦しい・胸が痛い(胸痛)
- 疲れやすい・だるい(倦怠感)
- 階段や坂を上るのがきつい ・息切れがする
- めまいがする
しかし、約半数の方は、自覚症状がなく、健康診断で気づかれたり、脳梗塞になった後で気づかれたりすることも少なくないです。
心房細動かもしれないと思ったときは…
下の動画を参考にしていただき、手首の内側の親指側に3本の指をあて、脈をとります。脈が規則正しければ正常です。不規則に乱れている場合は、心房細動が疑われます。
出展 心房細動週間ウェブサイト
心房細動の検査
心電図検査
最も基本的な検査で、心電図で心房細動が記録されることで、診断されます。弁膜症など他の病気があるかどうかもわかります。
ホルター心電図検査
心電図検査は、病院で行う検査のため、自宅で心房細動になっても、病院では止まっていると、「正常」と言われてしまいます。24時間心電図をつけることで、自宅での様子を詳しく調べることができます。
携帯型心電図検査
発作の頻度が少ない場合、24時間ホルター心電図でも、心房細動が見つからないことがあります。その場合、携帯型心電図装置を、2週間程度持ち歩いてもらい、動悸などの症状があるときや、決まった時間に心電図を記録していただきます。
心臓超音波検査
心臓の形や大きさ、動きなどを調べます。心臓の中に血栓が見つかることもあります。
血液検査
甲状腺の病気や貧血など心房細動の原因となる病気がないかどうかを調べます。また、BNP(ナトリウム利尿ペプチド)を測定し、心臓への負担具合を調べます。
心房細動の治療
脈がはやくならないようにする治療
一時的に心房細動が起こる方は、その頻度に合わせて、発作を予防する薬や発作を止める薬を飲み、発作を抑えます。
心房細動が続いている場合、脈がはやくなることが多いため、脈を調整するくすりを飲み、心臓に負担を取り除きます。
脳梗塞の予防
脳梗塞にならないように、抗凝固薬(血をサラサラにする薬)をのみます。食事制限が必要なもの、腎臓の機能にあわせて容量の調整が必要なものなど、様々な種類の薬があります。患者様の状態に合わせて、最適なものを提案します。
カテーテル治療 (手術)
心房細動の根本治療としてカテーテルアブレーション治療という手術があります。ご希望の方は、専門病院をご紹介いたします。