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どれくらい食塩を摂っているか知りましょう

塩

外食をすると、普段食べているものより味の濃いものだったり、薄味のものもあったりすると思います。「家で作る時は味をもっと薄くする」という方や「味の濃いものばかり食べると病気になるよ」という会話をすることもあるかと思います。

塩分の取り過ぎは体に良くないというイメージがあると思いますが、自分が塩分をどれくらいとっているのか、どのくらい摂ったらよいかをご存じでしょうか?

食塩摂取量の平均は約10gです

平成30年の国民国民健康・栄養調査の結果では、食塩摂取量の平均値は10.1gですが、性別、世代などにより様々です。

男性・高齢者に多いです

男女別にみると、男性 11.0g、女性 9.3gと、男性の方が塩分摂取量は多いです。
世代別で見ると、20歳代は、男性 10.8g、女性 8.8gに対して、60歳代は男性 11.6g、女性 9.9gと、高齢者の方が多く摂っています。

日本人は世界の中でも多いです

世界の塩分摂取量はどうでしょうか?
アメリカ合衆国 9.0g、イギリス 8.0g、フランス 7.5g、オーストラリア 6.2gと、欧米諸国の塩分摂取量は、日本より少ないです。
しかし、コメを主食とするアジアの国々は全体的に多く、例えば、韓国は9.9gとなっています。

昔よりも減少傾向です

日本人の食塩摂取量は、1950年代は、1日当たり15gを超えていましたが、その後は低下傾向にあり、ここ数年は10g前後です。
かつての日本人は、食べもののを保存するため、野菜や魚を、塩を使って、漬物や干物に加工していいました。その結果、保存することが可能となり、これをお米とともに食べていました。また、調味料も、しょうゆや味噌を多く使っていました。
保存技術や交通の発達とともに、食塩を使って加工しなくても、野菜や魚を食べられるようになりました。食の欧米化とともに、しょうゆや味噌を使用する機会も減り、食塩の接種量は減ってきていると考えられます。

塩分摂取量の目標

食塩は、人間が生きていくために必要不可欠なものですが、一方で、食塩を摂りすぎると、血圧が高くなったり、心臓病、腎臓病になったりすることが知られています。

人間の食塩摂取量は、石器時代には1日1~3gだったと考えられています。現在でも、南米のヤノマモ族は1g未満の食塩で暮らしています。ですから、食塩の必要量は、多くても3g程度と考えられます。
ですので、現代人は必要以上に塩を摂っていると考えられます。

健康な方の目標

厚生労働省による、一般の方の食塩摂取量の目標は、以前は、1日10g未満でしたが、2015年に男性8g未満、女性7g未満と厳しくなりました。

なお、世界保健機関(WHO)は、1日5g未満を目標にしています。

持病のある方の目標

減塩高血圧、心臓病、腎臓病のある方は、食塩を多くとることで病気が悪化するため、目標がより厳しくなっています。これらの持病のある方は、1日6g未満が目標とされています。

世界では、アメリカでは4g未満、ヨーロッパでは、日本と同様に6g未満を目標としています。

食塩摂取量の調べ方

このように、塩分摂取量に目標がありますが、目標に達している方は少ないと考えられています。しかし、自分でどれくらい摂っているかを把握している方は、少ないです。
自分の塩分摂取量を知るにはそうしたらよいでしょうか?
以下のようなほい方があります。

食事量から計算する方法

代表的な方法は「食事記録法」といって、食べる食品の重さを測り、食品成分表を使い、含まれている食塩の量を計算します。
最大の長所は、実際に食べた内容そのものの情報が得られる点です。
しかし、外食をした場合は測れないなど、飲食したすべてのものを完全に調べられることは少ないです。また、飲食するごとに重さを測るのは、非常に手間がかります。完全に測ることができれば正確な結果が得られますが、そのための労力が非常にかかり、現実には、正確な量を知ることが難しい方法です。

尿検査で調べる方法

摂取した塩分のほとんどは、尿から排泄されます。そのため、尿を調べることで、接種した塩分量がわかります。1日に摂った塩分量を測るためには、1日尿をためる必要があります。ためた尿中のナトリウム濃度と量から計算します。
生活をしながら、すべての尿をためるのは非常に大変です。外出先で尿をすることもできません。

そこで、1回の尿から、1日の塩分摂取量を推定する方法がつくられました。
いくつかの計算式ありますが、いずれも、ためた尿から求めた塩分摂取量とよく相関するということが報告されています。ただし、ばらつきができることも知られており、1つの目安と考えていただいた方がよいです。

当院での検査方法

当院では、1回の尿から推算する方法で調べています。この方法は、日本高血圧学会が推奨している方法です。

検査方法

尿を採取しますので、受診前には排尿をしないようにしてください。
食事制限はありませんので、普段通りの食事を召し上がってきてください。

費用

高血圧、心臓病、糖尿病など持病のある方は、健康保険が利用できます。その場合、3割の自己負担で、約600円です(別に診察料がかかります)。

まとめ

塩分摂取量の目標は厳しく、多くの方が、目標とより多く摂取していると考えられます。健康のために、減塩をすることは大切です。そのためには、現在、自分がどのくらい塩分をとっているかを知ることが、第一歩になると考えます。