帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスによっておこる病気で、発疹が出るだけでなく、痛みを伴うことの多い、つらい病気です。
多くの場合、治療により完治しますが、約2割の方は、痛みが長く続く「帯状疱疹後神経痛」となり、長年にわたり痛みに苦しみます。
帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の予防には、予防接種が有効です。
令和7年(2025年)4月より、国や自治体から助成が受けられるようになりました。
帯状疱疹の予防接種は、どのようなものでしょうか。
帯状疱疹とは?
帯状疱疹は、水痘帯状疱疹ウイルスによっておこる病気です。
水痘帯状疱疹ウイルスにかかると、最初は、水痘(みずぼうそう)になります。多くの方は、子どものときに感染し、一度なおります。しかし、このウイルスは、体内に潜んでいて、長い年月を経て再び活動をはじめると、帯状疱疹となります。
痛みを伴う発疹ができます
症状は、身体の左右どちらか一方に、赤みや水疱(水ぶくれ)のある発疹が、まとまって帯状に現れます。体のどこにできますが、顔や胸、腹、背中に出やすいです。
痛みを伴うことが多く、眠れないくらい強い痛みになることもあります。
顔の帯状疱疹の場合、視力が低下したり、顔面神経麻痺、難聴などを引きおこしたりすることがあります。
後遺症が残ることがあります
通常、3週間程で発疹がなくなり、その後、痛みもなくなります。
しかし、1か月以上も痛みが続くことがあり、3か月以上続く場合、帯状疱疹後神経痛と言います。刺すような痛み、焼けるような痛み、針で刺すような痛みなど、痛みの程度は様々です。
これは神経が損傷を受けたことによる痛みで、治りにくく、長く苦しめられる方がいます。
お年寄りほど残りやすく、約2割の方が帯状疱疹後神経痛に移行すると言われています。
患者数は増えています
帯状疱疹にかかる方は、50歳以上に多く、70歳前後がピークになります。
約1/3の方が、一生のうちに1回にかかると言われ、決して珍しい病気ではなく、皆さまの身近にも、かかったことのある方がいるのではないでしょうか。
帯状疱疹の予防法
帯状疱疹の予防には、生活習慣の改善と、予防接種の2つがあります。
生活習慣の改善
免疫力が低下すると、帯状疱疹にかかりやすくなります。免疫力が低下しないよう、生活習慣の改善に努めましょう。
- 免疫力を高めるために、バランスの良い食事を心がけましょう。
- 睡眠不足は免疫力を低下させますので、十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとりましょう。
- 運動は、免疫力を高め、ストレスを軽減する効果があるので、自分に合った適度な運動を定期的に行いましょう。
帯状疱疹ワクチン
生活習慣の改善だけで、帯状疱疹を防ぐことは、難しいです。
最も効果的な予防法は、帯状疱疹ワクチンの接種です。
50歳以上が対象ですので、50歳を過ぎたら、ワクチンを接種しましょう。
帯状疱疹ワクチン
多くの方は、水ぼうそうにかかったことがあるため、すでに水痘帯状疱疹ウイルスに対する免疫を持っています。しかし、年齢とともに免疫は弱まってしまうため、あらためてワクチンを接種し、免疫を強化することで帯状疱疹を予防します。
ワクチンの種類
帯状疱疹ワクチンには、「生ワクチン」と「組換えワクチン」の2種類があります。
この2つには、効果や、効果の持続期間など、大きな違いがあります。
生ワクチン | 組み換えワクチン | |
---|---|---|
接種回数 | 1回 | 2回 |
注射する部位 | 皮下注射(腕) | 筋肉注射(肩) |
帯状疱疹の予防効果 | 20~70% | 90~97% |
帯状疱疹後神経痛の予防効果 | 60% | 90% |
接種回数 | 5年 | 10年以上 |
費用 | 安価 | 高価 |
組み換えワクチンは、2回接種が必要で高価ですが、長きにわたり確実な効果が期待できます。
ワクチンの副反応
主な副反応は、注射をした部分の局所反応(痛み、赤み、腫れなど)がほとんどです。極めて稀に、発疹、アナフィラキシー(じんましん、呼吸困難、口唇のまわりの腫れなど)がみられることがあります。
帯状疱疹ワクチンの接種を行っています
当院では、効果の高い組み換えワクチンを接種しています。
対象となる方
50歳以上の方
費用
1回 22000円(税込)
さいたま市にお住いの方 1回 18200円
2か月以上あけて、2回の接種が必要です。
予防接種の流れ
予防接種を受けるにあたっての注意
- 予防接種の当日、発熱していたり、体調が悪かったりする場合は、接種できません。お手数ですが、再度予約を取り直していただきます。
- 当日は、体調に異常がなければ、入浴できます。ただし、注射した場所は、こすらないでください。
- 予防接種を受けた日は、激しい運動や飲酒は避けて、静かに過ごしてください。スポーツや宴会の予定がない日に予約してください。