血圧は常に一定ではなく、1日の中で時間によって変化したり、季節によって変化したりすることが知られています。
また、自宅では血圧は正常ですが、病院で測ると高くなる「白衣高血圧」だけでなく、病院では血圧が正常でも自宅では血圧が高い「仮面高血圧(かくれ高血圧)」の方がいることも知られています。
したがって、病院 を受診したり、健康診断を受けたりした時に1回血圧を測定するだけでは、自分の本当の血圧を知ることができません。
当院では、高血圧が疑われる方、高血圧の治療を必要とされる方には自宅での血圧チェックをお勧めしています。
目次
血圧を測る時間
血圧は1日の中でも時々刻々と変化しています。起床時と寝る前の決まった時間帯に測定することがすすめられています。
起床後
起きて1時間以内、トイレをすませ、食事やくすりを飲む前に測定します。
就寝前
入浴後1時間以上あけて測定しましょう。
血圧の測り方
いすに腰掛けて、安静にしてから、腕帯を巻いてください。厚い服を着ている場合は脱いで、素肌または薄手のシャツの上にぴったりと巻いて、心臓の位置になるようにしてください。
測る回数
少なくとも 1 回測ってください。できれば 2 回測り、両方の値と平均値を記録してください必ずしも、何度も測る必要はありません。
血圧の記録は大切なものです。メモ用紙に記録するとなくなることがあるので、血圧手帳に記録しましょう。
血圧計の選び方
血圧計には様々なタイプの物が市販されていますが、大きく分けて二の腕(上腕)で測定すものと、手首で測定するものの2つがあります。
血圧を測る際は、腕帯の場所により誤差が出ます。心臓より高い位置に巻くと、血液が流れにくくなり、実際より低い値になります。逆に、心臓より低い位置ですと、高い値になります。
現実には、手を挙げて測定することよりも、手をおろしてしまい、低い位置で測ってしまうことが多く、実際より高く出ることが多いとと考えられます。
実際、上腕と手首の両方で、自宅で血圧を測定ったところ、手首で測った方が上腕で測るよりも血圧が高く出る人が多かったです。数値の差が、5 mmHg以上あった方は721人中621人(86.1%)、10 mmHg以上もあった方は455人(63.1%)いました。
ところが、診察室で、医師が指導して血圧を測ると、両者には差がありませんでした。
手首、指先で測定するタイプは、知らず知らずのうちに測定する位置がずれ、不正確になりがちです。
血圧計はできるだけ上腕(二の腕)で測定するタイプのものにしてください。
出展 Poor Reliability of Wrist Blood Pressure Self-Measurement at Home: A Population-Based Study. Hypertension. 2016.
まとめ
自宅で血圧を測定するのは、面倒くさいと思うかもしれませんが、自分の健康を管理する一つのバロメーターです。忘れたりすることもありるかと思いますが、無理なく測定できる範囲で測定して記録するようにしていけばいいでしょう。
また、血圧が高っかったり、低かったりすると、気になる方もいます。1回1回の値に一喜一憂することなく、気楽な気持ちで測定してください。もちろん、心配なことがありましたら、ご相談ください。
診療でも、クリニックでの1回の測定よりも、たとえ2回でも3回でも自宅の血圧記録があれば情報量が多くなり、より効果的な治療を行うことができます。