第9回New Medical Scienceの会に参加しました

第9回New Medical Scienceの会に参加しました。

最初の講演は、「IgA腎症における病巣感染症と治療戦略」でした。

IgA腎症とは、腎臓の糸球体という、血液中の老廃物を濾過して、尿として体の外へ出す働きをする部分に、IgAという蛋白が沈着する病気です。尿検査で血尿や蛋白尿を認め、気づくことが多いです。進行すると腎臓の機能が低下し、腎不全に至り、最終的には人工透析が必要となります。一方、病気がよくなる方や、非常にゆっくりと進行する方もいて、経過は個人差が大きいです。

IgA腎症の原因の1つとして、喉の病巣感染が注目されています。「病巣感染」とは、身体のどこかに限局した感染症がくすぶっていて、それ自体は軽い症状しかないものの、これが原因になって、直接関係のない別の臓器に病気を引き起こすことです。病巣感染がよく起こる場所は、口、喉に多く、扁桃、副鼻腔、上咽頭、歯です。IgA腎症の場合、これらの場所に感染症があることで、腎臓病が引き起こされていると考えられています。

この病巣感染への治療として、もっとも一般的なのが、扁桃腺をとる手術 (扁桃摘出術)と、免疫を抑える薬 (ステロイド)を大量に投与する治療法です。
加えて、最近注目されているのが、上咽頭への治療です。上咽頭とは、鼻の一番奥で喉につながる部分です。この部分へ消毒液を付けた綿棒を、鼻または口から入れて、直接こすりつける治療法で、「Bスポット療法」と呼ばれます。
上咽頭への病巣感染 (慢性上咽頭炎)は、IgA腎症だけでなく、皮膚や関節の病気にも関わっていると考えられており、Bスポット療法により、これらの病気がよくなることもあるとのことでした。
実際に、IgA腎症と乾癬性関節炎が合併した方への治療経過をみせていただきました。乾癬性関節炎は、皮膚が赤くなり、角質が厚く盛り上がり、皮膚のかけらがポロポロと剥がれおちるとともに、手足などの関節が痛くなる病気です。扁桃腺摘出術とステロイドの大量投与に加えて、Bスポット療法を行うことで、腎臓の機能がよくなりました。加えて、全身の皮膚もよくなり、乾癬性関節炎にも効果がありました。

慢性上咽頭炎の原因として、口呼吸、長引く風邪、たばこなどが挙げられていました。

特に、口呼吸の習慣をなおすことが重要とのことでした。鼻呼吸の場合、鼻毛などにより、ばい菌などが体へ入るのを防ぎ、鼻の奥で暖められたり、加湿された空気が喉、肺へとはいります。しかし、口呼吸では、空気が直接はいるため、これらの防御機構が機能しません。そのため、ばい菌が入りやすい環境となります。

口呼吸の習慣を治す方法として、「あいうえべ体操」や、寝るときに口にテープを貼る方法などが紹介されていました。あいうえべ体操は、「あ~い~う~え~べ~」と口を大きく動かすのを、1日30回繰り返すものです。これを導入した学校では、風邪やインフルエンザで休む生徒が減ったという報告もあるそうです。

次の講演は、「CKDの薬物療法における最前線」でした。

CKDとは「慢性腎臓病」の略で、腎臓の機能が低下しているか、尿検査で蛋白尿がある腎臓の病気で、この病気の方は増え続けています。

腎臓の機能が悪化すると、その影響は腎臓だけでなく、全身に及びます。特に影響を受けるのは、心臓です。腎臓の機能が悪い方ほど、心臓病によって入院したり、亡くなったりすることが多くなります。すなわち、腎臓病と心臓病は、お互いに影響しあって悪化させている悪循環の関係にあります。その原因は、悪化させる原因が、高血圧、糖尿病、たばこなどと共通しているからです。腎臓病が悪化すると、老廃物が蓄積し、血圧が上がったり、動脈硬化が悪化したり、貧血になったりします。そうすると、心臓への負担が増大し、心臓病が悪化します。そのため、腎臓の機能を悪化させないようにすることが、心臓病の予防にもつながります。

腎臓を悪化させないためには、高血圧や糖尿病をよくすることが大切です。
血圧や血糖値を下げる薬はたくさんありますが、腎臓への負担をとるには、どの薬がよいかを、最新のデータをもとに解説していただきました。