2歳までに抗菌薬を使用したことがあるとアレルギー疾患にかかりやすくなる

2歳までに抗菌薬を使用したことがあると、アレルギー疾患にかかりやすくなるという研究が、国立成育医療研究センターから発表されました。

近年、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかる子供が増えてきています。
アレルギーになりやすくする要因として、お母さんのおなかの中にいる時から、産まれてら成長していく中で、様々な要因が関わっているとされています。その一つとして、くすり、特に抗菌薬の影響があるのではないかといわれ、2歳までに抗菌薬を使用された子どもは、気管支喘息ににかかりやすくなるというイギリスからの報告があります。

2004年3月から2006年8月までに、国立成育医療研究センターで産まれた1550人の赤ちゃんを対象としました。その保護者に、2歳時に、抗菌薬を使用したかどうかをアンケートで調査しました。さらに、5歳時にアレルギー疾患にかかったことがあるかについてもアンケート調査をおこないました。アンケートの回答を得られなかったりした子どもを除外し、最終的に902人の子どもを解析しました。

2歳までの抗菌薬使用したことのない子どもは466人、使用したことのある子はは436人でした。
5歳の時に、気管支喘息の子どもは、抗菌薬使用したことのない子は37人 (7.9%)であったのに対して、使用したことのない子どもでは81人 (18.6%)でした。同様に、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎でも、抗菌薬の使用歴のない子は87人 (18.7%)、37人 (7.9%)であったのに対して、使用したことのない子どもでは107人 (24.5%)、59人 (24.5%)でした。いずれも、抗菌薬を使用したことのある子どもは、使用したことのない子どもよりも多かったです。

統計処理を行うと (調整オッズ比)、2歳までに抗菌薬を使用したことがあると、5歳時に気管支喘息になりやすいリスクは1.72倍、アトピー性皮膚炎は1.40倍、アレルギー性鼻炎は1.65倍と、いずれも関連がありました。

抗菌薬を使用するとアレルギー疾患が増える原因は、はっきりとしていませんが、細菌叢 (細菌フローラ)が関与しているのではないかと言われています。細菌叢は、本来、ばい菌など外敵からから守る免疫機構において重要な役割をしています。抗菌薬を使用し、細菌叢が死滅することで、免疫機構に異常を引き起こし、アレルギー疾患を発症すると考えられます。

それでは、抗菌薬を使用しないことがよいのでしょうか?
そうではありません。抗菌薬のおかげで、肺炎、髄膜炎など重い感染症で命を落とすことは少なくなりました。一方、抗菌薬の効果がない風邪でも、抗菌薬が使用されることは少なくありません。風邪に続いて細菌による感染症を引き起こし、抗菌薬が必要になることはあるため、一見、よいことのように感じると思います。しかし、この場合も、最初から抗菌薬を使って予防するのはできないことがわかっています。
今回の研究で、風邪に抗菌薬を使うのは、効果がないばかりか、子どもではアレルギー性疾患になりやすくなる可能性があることがわかりました。すなわち、必要な時にはしっかりと抗菌薬を使い、必要なければ使わないことが大切といえます。

出展 Influence of antibiotic use in early childhood on asthma and allergic diseases at age 5. Annals of Allergy, Asthma & Immunology.