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さいたま市の冬は、心筋梗塞になりやすい

寒くて雨が少ない冬

心筋梗塞と気候の関係を調べた研究

方法

スウェーデンで、心筋梗塞が疑われて心臓病専門病院に入院した全ての患者を登録しているデータベース (SWEDEHEART)と、スウェーデン気象水理研究所が発表している気象データを検討しました。スウェーデン気象水理研究所は、国内132か所に観測所を設けており、患者が入院した病院に最も近い観測所のデータを使用しました。気象データは、毎日の平均気温、最低気温、最高気温、1日の気温変動、風速、日照時間、気圧、湿度、降雪量、雨量を解析しました。

結果

1998年1月1日から2013年12月31日までに、気象データを入手することのできた心筋梗塞の方は、27万4029人いました。

最低気温が低いほど、急性心筋梗塞になりやすく、最低気温が7.4 ℃上昇する毎に、心筋梗塞の危険性は2.8%低下していました。
同様に、心筋梗塞の危険性は、日照時間は4.2時間長いと1.4%、気圧は10.9 hPa高いと1.3%、降雨量は2.6 mm多いと1.0%少なくなりました。一方、風速が1.9 m/秒強いと心筋梗塞に1.2%なりやすく、積雪量は0.25 mm多いほど、0.8%心筋梗塞になりやすかったです。さらに、1日の気温の変化は3.4 ℃大きいほど、1.6%心筋梗塞になりやすかったです。なお、湿度は影響していませんでした。

結論

気温が低い、気圧が低い、風が強い、日照時間が短いことが、心筋梗塞になりやすい気象条件でした。特に、最低気温が低いことが、最も心筋梗塞になりやすい気象条件でした。

出展 Association of Weather With Day-to-Day Incidence of Myocardial Infarction: A SWEDEHEART Nationwide Observational Study. JAMA Cardiology. 2018.

さいたま市の冬は心筋梗塞になりやすい

さいたま市の冬の気候

さいたま市のある埼玉県南部の気候は、太平洋側気候といわれ、冬は寒くて、降水量が少ないのが特徴です。

特に、冬の朝夜は、放射冷却により寒くなることが多く、東京、横浜、千葉などのまわりの都市より気温が低くなることが多いです。さらに、さいたま市の1月の平均最低気温は-1.5 ℃であり、関東北部にある群馬県の前橋市 (-0.8 ℃)よりも低くなっています。実際、平成30年(2018年)1月26日の最低気温は-9.8 ℃と、記録的な寒さでした。

降水量は全般的に少ないですが、特に冬季の降水量が非常に少ないです。1月の平均降水量は37.4 mmと、一番多い9月(201.8 mm)の約2割です。もちらん、雪が降ることもめったにありません。
また、日本海側からきた季節風が吹き、乾燥した風が吹きます。この風は「からっ風」と呼ばれ、時に強風となることがあります。

心筋梗塞になりやすい気候と、さいたま市の冬の気候の共通点

先ほどのスウェーデンでの調査では、最低気温が低いことが最も心筋梗塞になりやすい気候条件であり、まさにさいたま市の冬がこれにあたります。他にも、雨が少ない、風が強いなど、いくつかの条件も当てはまります。

まとめ

さいたま市の冬は心筋梗塞になりやすい気候条件であり、特に冷え込む朝晩は、注意が必要です。